理事長だよりNo.48(2024/10/22)

■ノーベル平和賞に、日本原水爆被害者団体協議会「被団協」が受賞しました。

 ノーベル賞委員会のフリドネス委員長は、「核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきた」と授賞理由を説明した。被団協のメンバーは、原爆の後遺症と差別や偏見に苦しみながらも、「歴史の証人」として、自らの傷痕をさらし、核兵器の残酷さを訴え続けた。設立から68年、命を懸けた「草の根運動」は、ノーベル平和賞を受賞し、世界を動かした。被爆して亡くなった全ての人が受賞者だと思う。

★被爆者運動を先導した3人の言葉を紹介します。

「ノーモア・ヒロシマ ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ウォー ノーモア・ヒバクシャ」
山口仙二さん 1982年6月、第2回国連軍縮特別総会で、被爆者初の国連演説

「モルモットでも、見世物でもない。でも、どうか目をさらさないで、もう一度みてほしい」
谷口稜暉さん 2010年5月、核拡散防止条約再検討会議で演説。

熱線で真っ赤にただれた背中の写真を自ら示した。背中に残るケロイドで椅子にもたれることもできず、夏でも上着を脱がなかった。

「ネバーギブアップ」
坪井直さん 国内外での証言の場で常に口にした。被爆で全身大やけどを負った。「ピカドン先生」、「ヒロシマの顔」と称された。 (読売 2024.1013)

 自分が被爆したとしたら、どこまで行動できただろうか?一人では自信はないが、仲間とつながっていれば、できたかもしれない。仲間とのつながりが強ければ、がんばれただろうと思う。それにつけても、精神力、使命感の強さに心底感服します。

★ノーベル経済学賞~民主主義の重要性
 ノーべル経済学賞は、米国の3氏が受賞した。3氏は、国家間の経済的な繁栄における社会制度の重要性を解明し、「民主主義」の意義などを訴えた。国家の繁栄の決定的な要素は、地域や文化ではなく、民主主義や法治主義、機会の平等といった社会制度であると結論づけた。受賞後の会見で、「政治が一人の人物や一つの政党によって独占されない仕組みが重要だ。民主化した国はより早く成長する」また、「近年は世界の多くの指導者が、(国を豊かにする民主主義ではなく)別の方向に進んでいる」と述べた。

[受賞者3氏が導き出した論理]
同じ地域に位置し、住人に文化的な類似点がある2つの国
【A国】民主主義国家 (例)
私的財産の保護や機会の平等などの社会制度、法の支配が存在⇒技術革新、社会変革などを通じて経済的な繁栄を実現
【B国】権威主義国家 (例)
国民の政治的な権利が制限され、支配層が利益を得る社会制度⇒社会制度が変化の芽を摘み、長期的な経済成長が起きにくい (読売新聞 2024.10.16)

■(私の解釈)権威主義国家(露中北朝鮮イランなど)は、厳重な言論統制、情報管理、監視体制などが敷かれ、権力者は、自分の思い通りに国や国民を動かそうとする。国民は、余計なことは考えないし、考えられない。一方、民主主義国家(欧米加豪日など)は、法治国家で、国民は、言論も自由で、行動も規制されない。これらの国の方が、課題も多いが、成長、発展するということ。

■前置きが長すぎてスミマセン。この記事を読んだとき、ノーベル経済学賞の内容と日頃私が考えていることは似ている、と思った。

■国を団体に置き換えてみると、
【A団体】民主主義的な団体
団員個人の自主性、主体性を尊重し、ルールを守る。自由に意見を言い合える環境で、いろいろな意見やアイディアが生まれる。団員も自由に活動できる。個々の力を発揮し、ベクトルが合えば、想像以上に力が発揮される。個人も団体も成長できる。
【B団体】権威主義的な団体
団長がワンマンで、何事も仕切る 。団員は団長の言う通り動く、余計なことは考えない。受け身だ。団体は、団長以上に大きくならない。

■【私のめざす団体像】

 もちろん民主主義的な団体であり、ルールを守る団体である。団員が自主的、主体的に活動する。仕事は誰かにやらされるのではなく、自分から見つける。自分たちの手で、自分たちの団体を良くする。自分と違った考えを即否定しない。仲間の意見に耳を傾け、話し合う。一人一人の力を最大限発揮できるよう互いに協力し合う。

目次